●世界観関係用語


○青い月
黒い月出現と同時に本来の月に水圏が発生し、青い月となった。
宇宙は幻獣の支配領域であるため、一切が謎。
黒い月は不可視なので、夜空を見上げると青い月だけが見える。


○石田タイプ
深刻な指揮官不足を補うために作り出された新型指揮官型成体クローンで、現在プロトタイプが各地で実地テスト中らしい。
必要な能力と知識および指揮官向けの新機能を予め付与されているという話だがいろいろな面で未知数。
無論こんなことは一般の学兵は知らず、指導兵など一部が事情を知っているのみ。


○1751中隊
香川県善通寺市に司令部を持ち、四国に展開する第11師団に所属している第17連隊第5大隊第1中隊。
高知県西部、愛媛県境付近に駐屯、県境警護、防衛、災害派遣を任務とする予定の重要度の低い中隊だった(四国は前線からはるか遠く、さらに任地はきわめて僻地)。
入交村に駐屯しているのはそのうちの第1戦闘小隊と整備、衛生、事務、通信の各分隊。
周辺町村にも順次所属小隊が配備されるはずだったが…


○1251中隊
第11師団所属第12連隊第5大隊第1中隊。現在は小隊規模。
中土佐町駐屯→大野見村守備。
周辺町村に順次配備される予定だった小隊を統括し、鉄道沿線を警護するのが任務の中隊だが、大量の損耗を出して現在は小隊規模。
1751と比較しても年少者が多く(半数以上が14-15歳)、かつ指導兵の配備が少なかったことから高度な作戦やキャリアなどの運用は困難であり、基本的には歩兵部隊(若干のキャリア配備あり)。
本来は中土佐町に駐屯していたが大侵攻当時に海岸線から迫る大量の幻獣に対する防戦は不可能と判断。
残存自衛軍と共同で可能な限りの民間人(多くはなかった)を避難させつつ大野見村に後退した。
この戦いで残存自衛軍は壊滅。
1251中隊も大量の欠員を出し、現在はテクノをラインに移動させるなどして穴埋め、部隊を再編成しているところ。
火力の不足を補うため待ち伏せと不意打ちに特化して訓練を行っている。


○衛生兵
戦闘班に随行してけが人の回収、救助、治療などを行うほか、部隊の衛生状況や健康状態を管理することが任務。
白衣の天使などという言葉があるが、助からない仲間をその場で安楽死させるのも衛生兵の役目。
決して甘いものではない。
衛生兵専用の「慈悲狐」ウォードレスを装着し、サブマシンガン、アサルトライフル程度の武装できるが、基本的に護身用、阻止用であり、自分から敵を倒しに行くような行為は推奨されていない。


○営倉
素行が悪かったり問題を起こした学兵をぶちこむ懲罰房。
たいていの場合狭くて汚くてご飯もまずい。
営倉入りさせられている間は当然仕事ができず、PCの業務は他のPCが代行し、場合によってはそのまま配置転換が行われたりする。
本来兵員を営倉入りさせる権限は大隊長レベルのものだが、学兵部隊の場合便宜的に中、小隊長が営倉に関する権限を持っている。


○「X(えっくす)」
大陸戦に投入された、最初期の人型戦車。
士魂号の前身となる試作実験機だが後に記録からも抹消され、その存在を知る者は居なくなった。
大陸で全て廃棄されたはずだが…。
「X」について知っているのは大陸戦に参加した指導兵のみ。
場合によっては現物を見たり、運用に関わっていたことがあるかもしれない。


○階級
学兵の階級は、戦士、十翼長 百翼長、千翼長等と呼称される。
基本的に軍隊では上位階級者の判断、命令が優先される。
この上に万翼長、準竜師、竜師、大竜師といった階級もあるが、末端の学兵が遭遇することはまずありえない。
指導兵は自衛軍人としての階級を持つが、学兵部隊に出向中は十翼長として扱われる。
なお、学兵の階級と自衛軍の階級の対応は以下のとおり(給与は学兵の給与。自衛軍の給与はここには記さない)。
十翼長以上に昇格するためには、本来経験や戦果だけでなく、専門の教育機関で指揮や戦術、戦略に関する専門教育を受ける必要があるが、人員不足が著しい学兵部隊では必要な職能をこなすため、または学兵の士気を高めるためのエサとして比較的簡単に戦時任官(臨時昇格)が行われる。
この場合上がるのは階級名と給与等であり、正式な教育を伴わないので階級に見合った指揮権は付与されない。
また、あくまでも戦時における臨時措置としての昇格なので、状況が一段落すると階級は本来のものに戻される。






○学兵
1999年に可決された学徒動員法により、学籍のまま召集された少年兵。
全国で徴兵検査を受けた学生の内約10万の「甲種合格者」が自衛軍再編の時間稼ぎとして熊本要塞に投入され、後に30万の乙種合格者の前線投入が決定された。
政府は、彼らの大半は1999年中に死亡すると試算しており、事実5月末までの時点でに10万人の学兵は半数以上が死亡している。
彼らは対幻獣戦を意識して作成された「第六世代型クローン」であったが、基本的に訓練教官および設備、時間の不足から全くの訓練不足であり、必要な訓練を全く受けられずに前線に送られ、そのまま死んだものが大半である。
学兵部隊の装備は劣悪であり、訓練と装備の不足から大半は車両を配備されず、歩兵として運用された。
5121独立駆逐戦車小隊のような部隊は例外中の例外である。


○ガンパレードマーチ
突撃行軍歌。
勇壮かつ自己犠牲と協調を歌う内容であり、学兵なら誰でも知っているという程度に有名。
好き嫌いは分かれる。


○騎兵
「99式雷電」などの動物兵器に騎乗して偵察、戦闘を行うが任務の兵種。
動物兵器は格闘性能と隠密性に優れ、ことに山林内での機動力では通常戦車の追随を許さず、しかも「(大喰らいではあるけれど)食わせれば動く」という利点があるが、通常の戦車と違って乗り換えが効かない(動物兵器は基本的に主人にだけ騎乗を許す)、遠距離火力や航空戦力に対して無力である、基本的に装甲を持たない上、負傷した雷電は戦車のように修理できない(人間よりは回復が速いが、重症を負えば4-5日動けないなんてことはザラ)等、運用上厄介な点が多く、主力とはなりえない。
また、動物兵器に搭乗して戦うためには野戦を前提とした「勇敢」「彼方」以外のウォードレスは使用できず、装備できる火器類は騎乗する動物兵器の積載能力に左右される。


○キャリア
戦車やバイクなどの車両類のことを当ゲームではこう呼称する。
高価かつ、使用に熟練が必要だが装甲、火力ともに歩兵の敵うところではない。


○黒い月
幻獣出現と同時に現れた、あらゆる電磁波を反射しない黒い衛星。
宇宙は幻獣の支配領域であるため、一切が謎。


○熊本要塞
実際に「熊本要塞」という建造物があるわけではなく、熊本各地に徹底抗戦を目的とした陣地を構築、これを総称して要塞と呼称するもので、いわば熊本県そのもの。
熊本に戦力を集中し、熊本に隣接する各県を侵攻して本土に向かおうとする幻獣に対して出撃、攻撃することにより熊本を落さない限り陸伝いの本州上陸を阻止するという構想。
甲種合格10万の学兵はこの地に送り込まれ、先の見えない抵抗を続けている。


○クローン人間
この世界では極端な人口減少が進んでおり、これを補うため生物工学が発達。
人類はクローン培養で生殖するようになっている。
つまり、PCたちを含むほぼ全ての人間はクローン生産施設で生み出されたクローン人間ということになる。
クローン人類は基本的に生殖能力をもたないので、子供が欲しくなった夫婦は地元のお役所に申請を行い、申請が通れば役所を通して生産施設から夫婦のもとに赤ん坊が届けられることになる模様。
このさい、性別、名前などは選べないが、子供の名前は所定の手続きを踏めば改名できるので、この点はあまり問題にならない。
特殊な家系は例外的に性別や名前を事前に申請することができる。
たとえば存続のために男性の跡取りが不可欠な伝統芸能の継承一族には男児を、という具合。
ただしこれは例外中の例外であり、PCたちには関係ない世界の出来事だろう。
「自分たちがクローンである」という事実はこの世界ではごく当然の事情であり、話題にすら上らない。
クローン人類は世代ごとに改良が重ねられており、PCたちの親の世代は第四世代、PCたちは第六世代。
基本的に血液型は全て「A+」


○幻獣
1945年、突如出現した正体不明の殺戮者。
生理的不快感を招かずにはおかない異様な外見をしており、圧倒的な数を背景に、ただ人類を殺戮し、都市を蹂躙するためだけに行動。
殺すとしばらくの後に死体が霞のように消え去ることから「幻獣」と呼ばれている。
その正体は全くの不明だが、人間に対する悪意に満ち満ちていることだけは確かである。
大きさや形は様々だが、目の数が多い個体ほど強力。
生物的には消化器や口に相当する器官はないが、人面を模したり、人類を殺害するために擬口や擬顎を持っている種も存在する。
なお、幻獣は人類を分け隔てしないので共生派も殺す。
原作などでは幻獣の正体が云々されているが、当ゲーム開始時点では基本的に正体不明の人類の敵として取り扱う。
知性を持たないものとされており、交渉は不可能。
基本的に朝昼よりは夕方から夜、天気の良い日よりは悪天候の日に出現する傾向があり、雨が降っているかどうかは幻獣出現を警戒する一つの目安となっている。


○幻獣共生派
幻獣に支配された土地は急速に自然が回復すること等から幻獣を自然の使者または警告と捉え、幻獣との共生を主張する人々。
本来穏健な思想だが、その思想が危険視され弾圧される過程で武装化、過激化が進んだ。
当然のように、戦災で家族を失った経験のない後方の人々が共生派になりやすいが、戦時においては危険思想であり、激しく弾圧されている。
共生派であることが露見すると(またはその嫌疑をかけられると)社会的にも言葉通りの意味でも抹殺される可能性が高い。
基本的には平和主義的な思想であるが、弾圧されている組織が常々そうであるように、テロに走る組織も少なくない。


○絢爛舞踏
都市伝説。
絶望の中から現れ出でて危機を打ち払い、いずこかへ消え去るという。
まことしやかに語られさまざまな尾鰭がつくが、その目で見たものは誰もいない。
『絢爛舞踏章』という勲章もある。


○工兵
土木建築や塹壕掘り、爆薬の設置や使用を行うことで部隊を支援する兵種。
前線では先行して敵の埋設生体地雷を解体したり自分たちの地雷を設置したり、不利な地形を削ったり盛ったりすることで部隊を有利に導くことが任務。
任務上部隊に先行する関係から敵との直接交戦もありえるが、それが主任務ではない。
融通の利く技能を所持しているため、戦闘中も平時も便利屋的に使われることがしばしば。
工兵として戦う場合、重ウォードレスと咆哮狐ウォードレスは装備できない。
武装はサブマシンガン、アサルトライフル、白兵戦用装備に限定されるが土木作業装備を装備、地雷や爆薬の扱いを行うことが出来る。
工兵専用のウォードレス用スコップは強力。


○自衛軍
この世界の大人の軍隊。
第二次世界大戦中に幻獣が出現した経緯から、旧軍の体制をそのまま引き継いでいる。
1945年以降世界が幻獣と戦争状態を継続していることを背景に、日本最大の組織となった。
指導者層は官僚化し硬直気味であり、一部は軍事産業と結びついて甘い汁を吸っているといった側面もあるが、基本的には精強で頑健、かつ忍耐強い軍隊であり、大陸に派兵を行い多国籍軍として幻獣と戦い続けていた。
1945年以来一貫して敗北続きなのは人類の軍隊が弱いというより圧倒的な物量差によるところが大きい。
長い戦いの末に自衛軍は大陸と八代で将校と下士官を大量に喪失、弱体化するに至った。
有能な下士官を積極的に昇進させて権限を与えて凌ごうするも焼け石に水で、苦肉の策として再編成までの時間稼ぎに学兵が導入される事態となった。
それを恥じる者も多いが、代案をどうするかと問われれば悉く沈黙するしかなかったのが現状である。


○指導兵
自衛軍軍人として大陸戦や八代平原戦に参加した経験を持つ第六世代クローンの古参兵士。
部隊長指揮下で学兵たちを鍛え、軍隊の常識を学ばせ、一人前の兵として育て上げるために学兵部隊に編入される、いわば鬼軍曹役。
大変厳しいので、学兵からは敬意を払われる一方で恐れられたり敬遠されたりもするが、指導兵が配属された部隊はまだ幸運なほうだったというべき。


○自然休戦期
毎年5月半ば〜6月頭あたりから夏の間の、幻獣が出現しなくなる期間のこと。
人類はこの期間に奪われた領土を奪還したり軍隊の再編成を行ったりしている。
1945年以来今日まで繰り返されてきたため、人類側は自然休戦期の到来をかなりの精度で予測できる。
当ゲームにおける1999年の自然休戦期は5月上旬から。
今年もいつもどおりの休戦期が来たはずだったが…


○芝村一族
謎の技術力をもって台頭してきた謎の一族。
一族とは言うものの血族意識は皆無で、能力と志を持つ者を吸収して巨大化する。
ウォードレス等の技術は芝村の手になるものであり、技術力と資本力背景に軍事、政治両面で発言力を強めているが、目的のためには既得権益も慣例も日本の国法も他人の情緒も軽く無視するため基本的に嫌われている。
本人たちは嫌われていることを屁とも思わないようで、よけいタチが悪い。


○事務官
事務仕事全般や計算、交渉、物資管理などを行うことで部隊を維持するのが任務の兵科。
当然のようにその仕事は膨大かつ困難で、まさに裏方で戦っているといえる。
戦時は指揮車等の操縦や銃手の担当、大型火器の給弾補助や補給拠点の警護などを行うが、それらの役目は副次的なものであり、真価は平時にこそ発揮される。
夜明狐または赤子狐ウォードレスを装備でき、サブマシンガン、アサルトライフル程度の武装が可能ですが基本的に護身用、阻止用であり、自分から敵を倒しに行くような行為は推奨されていない。


○宿営地
軍が駐留し、居住する場所。
学兵部隊は慣例として担当地区の高校を宿営地として借り上げ、これを拠点にして活動する。
これは前線と市街地の距離が近いこと、この世界の高校が戦時を想定して軍の宿営地として利用可能なよう、設備に余裕を持たせて建築されていること、まだ未熟な学兵を教育するためにいろいろ都合がよい、等という事情による。
学兵部隊はここで暮らし、ここを拠点として事務仕事、装備の整備や物資調達、出撃などを行う。


○召集令状
軍隊が人員を召集するために発行する令状のこと。
表面には召集される本人の氏名、配属される場所、日時などが記載されており、裏面には配属地までの交通割引に関しての記載(令状を見せると目的地までの交通費が割り引かれる)や準備すべき物品類、心得などが記載されている。
なお、貧乏で配属地までの交通費がまかなえない場合、最寄の役所で適宜補助金の交付を受けられる。
召集令状が届いた場合、決められた日時に最寄の役所に出頭して手続きを終え、規定された日時までに配属地にたどり着くよう出発しなくてはならない。
なお、理由なく召集に応じなかったばあい拘留される可能性がある。
召集令状はそっけない封筒に入った白い紙だが、長年の慣習から「赤紙」と呼ばれている。


○食料生産プラント
クローン培養技術を利用し、食料を培養生産する工場設備。
この世界の主要な食料生産手段。
単純に言えば水といくつかの栄養素を供給し、保管されている培養元細胞を成長分裂させ、肉なら肉、野菜なら野菜を生産する。
植物系統のほうが培養コストが安く生産に必要な期間が短く、肉類のほうがコスト高で必要な期間が長いのは現実と同じ。
ウォードレスなどが使用する人工筋肉はこの設備を利用して生産できる。
農耕、畜産などの食糧生産法と比較した場合の利点は人手が少なくて済むこと、皮や骨などの不可食部位が少ないこと、品質が一定していること、季節や時間に関係なく生産が可能であること。
欠点は維持管理に技術が必要なこと、効率化の観点から生産物のバリエーションが少なくなること(栄養価が同じような野菜を何種類も何種類も生産するのは効率が悪い)、可も無く不可も無い味になること、工場が機能停止すると全ての種類の食料供給が停止すること。


○成体クローン
通常のクローンと違い、赤ん坊としてではなく、最初から必要な年齢の肉体と経験を与えられて生産されるクローンの事。
成長促進のための措置から通常のクローンより寿命は短く「不具合」が起きやすい傾向。
同じ苗字の成体クローンは同型機であり、まとめて「苗字+タイプ(例・若宮タイプ)」などという言われ方をすることもある。
本人たちの混乱を避けるため、一つの隊に同型のクローンが複数配備されることは無いとされている。


○生徒会連合軍
学兵の軍隊のこと。
学兵部隊は生徒会連合司令部によって統括されている。
単に「学兵」「学兵軍」と呼ばれることの方が多い。
法律的には文部省指揮下にあるが、実際には国防省が指揮を行っており、生徒会連合軍は自衛軍と協同作戦を取ること、または実質的な指揮下に入ることを前提としている。
自衛軍が弱体化している現状では独立行動を取ることも多い。


○整備兵
部隊の車両やウォードレス、火器類を維持管理するほか、戦闘中の補給などを主任務とする。
その能力は戦闘時でなく平時に発揮されるものであり、装備品が入手困難なPCたちにとっては整備兵の働き無くしては一日たりとも戦うことが出来ないと言える。
夜明狐または赤子狐ウォードレスを装備でき、サブマシンガン、アサルトライフル程度の武装が可能だが基本的に護身用、阻止用であり、自分から敵を倒しに行くような行為は推奨されていない。


○戦車兵
各種のキャリアを扱うための訓練を受け、豊富な火力と機動力で敵を蹂躙したり、車両の装甲を利して味方を守る兵種。
基本的な役割は歩兵支援と、歩兵では対処が困難な中型幻獣との対戦、敵戦線の蹂躙。
各種キャリアは強力で、特に火力と装甲では歩兵の追随を許さない。
しかし小回りがきかず死角も多いため歩兵の協力がないとあっという間に撃破されてしまう可能性がある、運用には多量の弾薬、燃料、普段からの整備が必要であり、物資が欠乏するととたんに粗大ゴミと化すなど、強力さと引き換えに様々な脆弱性を抱えている。
また、キャリアを操縦するためには「赤子狐」ウォードレス以外装備できず、キャリア内に持ち込める武装もせいぜいサブマシンガンかアサルトライフル程度と、キャリアが撃破された場合、乗員の生還は困難。
戦車や装甲車はとにかく目立ち、痕跡を大量に残す。
PCの置かれた環境と「敵に気付かれず生き延びる」という任務方針の関係から、戦車を投入して戦闘に勝っても、そのあと追跡されて本拠地が壊滅したりするのでは本末転倒なので、痕跡を隠蔽するなど運用上工夫が必要になる。


○促成クローン
急造型の成体クローン。
足りなくなった人員の穴埋めのため、初めから必要な年齢の体を与えられ、安価に作られる量産型。
生産時に模造記憶と必要な技能知識を脳に焼き付けられているが、記憶に経験が伴わないためストレスに弱く、不安定で壊れやすい…とされているが、環境や人間関係に恵まれれば必ずしもそうとばかりはいえない。
軍用の年齢固定クローンと違うのは生産されてから加齢できることと、質より量で安く作られていること。


○第5世代
初めて対幻獣戦を前提として開発されたクローン世代。
バケモノに対抗するのはバケモノだ、的な思想で作製され、強い同調能力を持ち、自分の姿を変異させる事が可能。
全身に精霊回路がプリントされており、これによって空を飛んだりレーザーを撃ったりという超能力を使用可能。
普段の見かけは普通の人間だが、戦闘時は巨大な翼を出現させる。
生体レーザーほか強烈な戦闘能力を発揮でき、対幻獣戦の切り札となるはずだったが、強力な同調能力が災いして戦線投入時に幻獣と同調してしまい、大半が幻獣側に寝返る結果となった。
1988年に発生したこの反乱事件は「大乱」と呼ばれ、これを期に幻獣に与しないよう、同一タイプで強固なネットワークを形成して同調を利用する東原、これを各隊に配置することで同調を限定利用する現在の軍隊の形が模索されるようになり、同時に第五世代は記録を抹消され、「なかったもの」とされた(「大乱」は当時主戦場だった大陸で起きたので日本での隠蔽は比較的容易だった)。
幻獣に寝返った後も強靱な精神力と同調能力は健在で、1万もの大型幻獣と1億以上の幻獣を統括できる。
生き残りは1998年に生物兵器として使用されたといわれる。
指導兵などは詳細、または一部の情報を知っている可能性がある。


○第6世代
対幻獣戦を前提として開発された新世代クローン。
第五世代クローンの失敗を元に、強化外骨格「ウォードレス」及び多目的結晶体とのセットで初めて戦闘力を発揮しうる設計になっている。
ブルーヘクサ、年齢固定、促成クローンなどもこれに相当。
1999年時点では主に十代が中心であり、二十代の第六世代はまだ多くない。
知能、筋力、敏捷性、持久力などが強化されており、ウォードレスの応力に耐えるために骨格は生体強化プラスチックで構成されている。
ウォードレスを着用することで強大な筋力、敏捷性を発揮できるのだが、大半はまだ18歳未満の少年少女であり、戦況の悪化から未訓練状態で戦線に投入され、損耗して行くこととなった。
第六世代クローンは、兵器とのリンクや情報通信のため、製造段階で「多目的結晶体」を装備されている。


○第4世代
PCたちの親の世代。
基本的な能力は現実世界の人間と同一。
この世界の基幹を支える存在であり、能力的には第六世代に劣るが経験に勝る。


○徴兵検査
一定の年齢に達したものに対し、兵役に就くことが出来るか否かを判定するため行われる検査。
身体検査、遺伝子検査、ごく簡単な一般教養問題、面接などから成るが、1999年3月に学生を対象に行われた徴兵検査の場合、学徒動員の決定から検査までの期間が異様に短かったことや検査すべき人数が膨大だったこともあり、必ずしも検査結果は精密ではなかった様子。
ちなみに検査の結果は
・甲種 合格。頑健であり前線配備に適する(3月から熊本行き)
・乙種 合格。能力不足あるが前線配備に適する(前線行き候補だが保留。のちに前線投入決定)
・丙種 身体的に虚弱であるなどの理由から前線配備に向かないが、内地にての勤務は可。
・丁種 あらゆる兵役に適さない。不合格。
・戊種 病後、病中により判定不可、保留
…と分類される。
なお、徴兵検査に合格したもののすべてが即時戦場に送られるわけではなく、実際はその中から必要に応じて召集されたり、志願を募ったりして必要な人員を集めることになる。
1999年3月の検査後、まず第一陣が召集されて熊本に送り込まれ、その損耗具合を鑑みて召集(または志願)して戦場に送り込まれたのがPCたちである。


○通信兵
持ち運び可能な無線通信機器を装備、通信・情報収集・情報解析・情報伝達を行うのが任務の兵種。
戦闘では、小隊長→各班間の指示伝達、各班→小隊長の情報伝達を担う。
通信兵は指揮車が使用可能な状況では指揮車の強力な通信支援機能を利用して上記任務にあたるが指揮車が使用不能な状態では直接前線に出向いて通信を中継したり、状況を把握したり、伝令任務を担ったりする。
夜明狐または赤子狐ウォードレスを装備でき、サブマシンガン、アサルトライフル程度の武装が可能だが、基本的に護身用、阻止用であり、自分から敵を倒しに行くような行為は推奨されていない。
通信兵の死亡は部隊の瓦解につながるからだ。


特異点
幻獣が多数実体化する地点のこと。
幻獣が涌いて出る井戸か門だと思えばよい。
基本的に幻獣は特異点を中心に実体化し、その後目的に応じて徒歩、または大型幻獣に搭載されて移動する。
特異点は幻獣支配地域内にしか存在せず、またどこにでも出現する物でも無い。
具体的に特異点が何であるのか、は現場の兵士には知る由もない。



○年齢固定クローン
軍用備品の成体クローンで促成クローンに比べるといろいろな面でかなり造りが良い。
足りなくなった大人の兵の穴埋めをするための存在。
目的上、生まれたときから17歳相当の肉体能力、知性、職能上必要な技能や知識を与えられて生まれ、肉体的にはそこから成長することは無い(精神的にはその限りではない)。
通常は生産時点で「模造記憶」といわれる偽の過去を焼き付けられているが、実際の任務に就く前に「夜学」と呼ばれる教育機関でその記憶が虚偽の物であること、年齢固定クローンの役割などを学んでいる。
学兵部隊に配備された年齢固定クローンは軍歴経験者として学兵を指導するのが任務。
年齢固定クローンの存在は軍隊ではさほど珍しくないので、特に「年齢固定クローンです」などと名乗ることは無い。
指導兵は軍人としての生活で、こうした年齢固定クローンに出会うことも多いが、学兵は逆にほとんど年齢固定クローンについて知らないだろう。
無論、同じタイプのクローンでも個性は様々。
耐用年数は30年程度で、実年齢で20歳になると選挙権が与えられる。



○藩閥
江戸時代の「藩」を元にした派閥。
芝村一族も「芝村閥」という藩閥の一つ。
その地域に強い発言権を持つ一方、軍事産業などと密接なかかわりがある。
この世界の日本は軍事、政治両面で藩閥が動かしており、出世のためには藩閥の後ろ盾を得ることが必須条件。
派閥というものの常として、ときに現実よりも派閥間の権力闘争や力関係に基づいて行動することがある。
有力な藩閥としては「会津閥」「薩摩閥」「芝村閥」などが存在する。


○瞳の色
この世界では青、赤、紫の瞳を持つ者は特殊な存在であるが、色の意味を知るものはごく少ない。
基本的に、殆どの人間の目は黒か茶色。


○物資
人類の支配地域は狭く、日本に輸入される食物や資源はごく限られている。
その上基本的に全ての物資が優先的に軍に供給されるため、民間、とくに僻地は慢性的に物資が不足気味。
特に化石燃料は入ってくる量が少なく、基本的に軍需用として使用さるため、民間では電気自動車が主流(だが、電気も制限されていて、動かないことがしばしばは)。
なお、周囲を敵に囲まれた状況を取り扱う当ゲームでは、当然のように物資は困窮している。


○ブルーヘクサ
「ラボ」によって特殊な強化が施された第六世代クローンのバリエーション。
通常のクローンと区別するために体毛はすべて青い。
成功したブルーヘクサは特殊な能力を発揮したり超人的な活動を行えたりするが、そんな連中は熊本送りになっているので高知にいるのは基本的にたいしたことがないか欠陥を抱えた失敗作。


○歩兵
文字通り徒歩で活動する兵種。
全ての兵科の基本、部隊の屋台骨であり、全てのウォードレスと地雷を除くあらゆるウォードレス用武装を使いこなして突撃、砲撃、狙撃、防衛、侵入、偵察など様々な任務に柔軟に対応可能。
戦車がなくても戦えるが、歩兵なしの戦闘は不可能。
火力、装甲ではキャリアに敵わないが機動性と地形適応能力が高く、山林などのキャリアが活動しにくい地形ではむしろ歩兵のほうが力を発揮できる。
それ以外の地形でも、キャリアが真に力を発揮するには歩兵との連携が欠かせない。


○ラボ
正式には次世代人類研究所。人口管理局などとも言われる。
人類勝利のお題目の下、日夜非人道的というも生ぬるい人体実験の数々が繰り広げられている。
厳重な情報管制下にあり、詳細を知る者は関係者か芝村か軍上層部だけである(現場の指導兵は存在の触りを知っている程度だろう)。
その所在は慎重に隠蔽されているが、実は日本中に支所があるのだ…という都市伝説。
藪はつつかずそっとしておくべし。



●アイテム関係用語


○ウォードレス
強化プラスチックと人工筋肉の束で構成された強化外骨格であり、第六世代軍人の標準装備。
人工筋肉のエネルギー源は蛋白燃料。
装甲ではなく機動力と人工筋肉の反発力で防御を行い、装着者に莫大な筋力と機動力を付加する。
装着するためには全裸となり、インナースーツとトイレパックを装着してから部位ごとに着用。
慣れないものは装着に相当な時間を費やすが、なれれば数分で着用可能。
骨格が強化された第六世代以外には着用不可。
なお、PCたちには最初、きわめて旧式の「勇敢」ウォードレスが支給されている。
ある程度は修復が可能だが、人工筋肉に大きな破損が起きると修復不能となり、廃棄される。


○携帯電話
金持ちでないと所持も維持もできないぜいたく品。
当ゲームではどこにも通話できない。


○クローン培養食品
食料生産プラントで培養生産される生鮮食品全般。
代表的なものはジャガイモ、人工肉。
生産をクローン培養に頼る割合が高いので、この世界の食生活はややバリエーションが少ない。
味は天然生産品とそん色ないという触れ込みだが、天然生産品の方が美味しいという意見も根強い。
天然生産品には旬があるが、クローン培養食品には本当の意味での旬は無い。
ただし、季節に合わせてあるていどバリエーションを持たせることで旬を演出しているようだ。


○軍票
正式には軍用手票。
要するに借金の証文か領収書のようなもの。
占領地などで部隊が一般の業者などに支払いをする必要に迫られたとき、軍票を発行して金銭支払いに替えることができる。
軍票で支払いを受けた商店などは後日所定の手続きを行えば、政府や軍から軍票記載の金額を支払ってもらうことが出来るという仕組み。
入交村は周辺を完全に幻獣勢力圏に取り囲まれている関係もあり、1751中隊は基本的に軍票で入交村の商店などから生活必需品などを調達することとなる。
ただし、この軍票での支払いを受け入れてもらえるのは地域住民が「1751中隊は地域を守る上で必要不可欠である」と認識しているからであり、地域の負担を考えず軍票支払いを多発したり、隊のモラルが低く地域に迷惑をかけすぎると使用を拒否される局面もありうる。
また、狭い村である入交村の生産能力には限界があり、地域の人間を飢えさせてまで部隊の食料を確保することはできないので、軍票購入分だけで部隊の衣食住を完全に賄うのは困難であり、弾薬類の村内調達は不可能なので、出来る範囲で自主調達が求められる。
中隊員の給与も前線では軍票で支払われる。


○サッカリン
石油系合成甘味料。
スプーン一さじでバスタプ一杯の水が甘くなるというほど強烈に甘いが、ある程度以上濃くなると苦味を伴うことから沢山使ってすごく甘くするという使い方は出来ず、少し物足りない程度のところが調度いいさじ加減。
味は砂糖とはかなり異なり、歯磨き粉のような涼しい甘さである。
発がん性があるとか言われているが、他に甘味料の無い戦時下ではそんなことは気にしていられない。


○砂糖
憧れの希少品。
大変高価な上品物そのものが少なく、学兵ごときが滅多に口に出来るものではない。


○ジャガイモ
クローン培養が簡単なためか学兵が口にする機会が最も多い食料。
うんざりするほど食べさせられる。
ジャガイモばかりの食生活が続くと部隊の士気が低下するので、事務班は地域と物々交換を行ったり軍票で購入したりして食品のパリエーションを確保している。


○人工肉
クローン培養肉。
基本的にはウォードレスや人型戦車に使われる人工筋肉と同様の物。
培養にコストがかかるので比較的高価。


○多目的結晶体
第六世代兵士の基本的な備品であり、柔らかい結晶質の情報端末。全PCは製造段階でこれを組み込まれており、事実上生まれつきの感覚器の一つとして認識されている。
普段は
左手の手の平皮膚下に埋没しており、必要に応じて出現させることができる目のような形状で、触れ合わせればお互いの心が読めてしまうことから、第六世代は普段はこれを隠し、性器のように扱う。
コンピューターへの接続端末や機動兵器の機動補助装置としても活用される他、上位の結晶(通常はその部隊の司令官の持つ結晶)に統括されればそれを介して相互にリンクし、情報伝達や通信、本人確認、認識票の代わり等として使用される。
多目的結晶が組み込まれている関係で、左手は右手に比べて握力などの性能が低下している。
多目的結晶体にはデータや通信文、専用のプログラムなどの情報を記録しておくことが可能。
当ゲームでは他のPCの出現状況を確認できる「テレパスセル」、PC間で私的な通信文をやり取りする「多目的結晶メール」、部隊全員に対する通信や出撃命令の発令などに利用する「多目的結晶チャット」などの形で利用される。
なお、PS版ゲームなどでは多目的結晶にアイテムを収納したりできるような描写があるが、当ゲームでは内部に何かを収納したりは出来ない。



○蛋白燃料
人工筋肉の燃料=栄養源。
白い液体状。
これを利用してプリンを作ったりする者もいる。


○テレビ
いくつかの放送局が営業しているが、プロパガンダ色が強く、人材の不足からつまらないバラエティばかり。
当ゲームでは受信不可なただの箱。


○人型戦車

人工筋肉と強化骨格で構成された全高9メートルの人型車両。
火力に劣るが人型ゆえの汎用性と圧倒的高機動で強力な戦力となりうる。
しかし原価も運用費も高価(人型戦車小隊は通常型戦車小隊の10倍の予算を食う)な上、パイロットとの相性が悪いとろくに動かない、動いてもあちこちすぐ壊れる、背が高く投影面積が大きいため遠距離攻撃のいい的になる、重量あたりの火力が通常の戦車よりずっと低い、何もしなくても毎日どこかしら不具合が起きる、整備や調製が煩雑、ということで、一般的には欠陥兵器扱い。
良いところはウォードレスと同じ人工筋肉で動くので、蛋白燃料や人工筋肉などの生産設備が共用できることか。
1999年4-5月時点では5121をはじめとしたごく少数の学兵部隊がこれを使って戦果を挙げているのみである。
なお、PCたちが所属する1751中隊には人型戦車は配備されていない(それどころか普通の戦車も無い)。


○雑誌
学兵の数少ない娯楽の一つ。
少年誌は週刊マガデー、週刊チャンプが双璧。
少女雑誌は月刊フリルの一人勝ち。
オシャレ雑誌の週刊トレンディー、プロレス雑誌の週刊ラリアットなどが有名。
前線では毎号買うことが困難なので、一冊が大事にまわし読みされている。
特に男性向けのエロスな雑誌は引き合いが多く、貸し出すかわりにおかずを一品わけてもらえたりもするが、そもそも入手が困難。